Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、M&A仲介・事業承継支援に関する100個の非指名質問をGeminiに入力しました。非指名質問とは、特定の企業・サービス名を原則として含めない質問です。公的相談窓口、仲介会社、マッチングサービスが異なる役割で登場し、買収先を探す場面と承継後の支援では顔ぶれが変わりました。相談段階を分けて結果を読み解きます。

調査概要

調査の範囲と確認できた実行条件は次のとおりです。

表1 調査概要

 

項目

内容

調査主体

Queue株式会社/LLMOナビ

調査目的

想起形成を目的とした質問に対する名称の出現と参照元の把握

対象業界・対象顧客

M&A仲介・事業承継支援。事業の譲渡、後継者探し、買収、承継後の運営を検討する経営者等を想定した質問群

対象AI

Gemini。具体的なモデル版は不明

質問と回答

設計100問/取得100回答/集計対象100回答。空欄0回答

調査年月・非指名質問

2026年9月/非指名と確認した質問100問

地域・言語

JP/日本語

検索の記録

検索発火38回答/事前学習62回答。記録された検索クエリ82件

確認できない実行条件

正確な実行日時、アプリかAPIか、モデル版、検索設定、会話履歴、再試行の履歴

出典:Queue株式会社「LLMOナビ M&A仲介・事業承継支援業界AI検索可視化調査」(2026年9月)

取得した100回答をすべて対象としました。場所などの追加情報を求める回答も、失敗として除外していません。ファイル作成日時は、Geminiに質問を実行した時刻とはみなしていません。

本記事で使う参照元・本文言及・推薦の読み方

参照元は、回答に関連して情報源として記録されたWebページやドメインです。本文言及は、企業・サービス名が回答本文に1回以上現れた状態です。推薦は、その対象が利用、購入、相談、依頼などの候補として提示された状態を指します。名称が説明や事例に出ただけでは推薦と数えません。

出現回答率は、対象が1回以上現れた回答数を対象回答数で割った値です。同じ回答で同じ名称が何度出ても1件とし、全体は100回答、テーマ別はそのテーマの実数を分母にします。複数の名称が一つの回答に出るため、率の合計は100%になりません。

今回は推薦の役割を全件で統一判定していないため、推薦率は掲載しません。参照先と本文の個々の記述を対応付ける情報も不足しており、「本文引用の率」としては集計していません。以下は本文言及と参照元出現の分析です。

調査結果の全体像

Queue株式会社のLLMOナビによる9月調査では、検索発火は38/100(38.0%)でした。回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリは82件で、検索発火回答あたり平均2.16件、中央値2件です。これは記録された検索の広がりを示す値で、回答の正確性を評価したものではありません。

参照URLの記録は397行あり、同一URLをまとめると352件でした。ホスト名で区別した参照ドメインは246件です。同じページが複数回答や同じ回答内に繰り返し記録された場合、URL行数ではその反復を残しています。

M&A仲介・事業承継支援業界のAI検索回答の特徴と押さえるべきポイント

売却条件・引退・廃業は12問、後継者探し・親族・従業員承継は8問、承継後・継続支援は10問でした。売却先や後継者を探す質問と、引き継いだ後の制度や業務を整える質問が混在しています。そのため、全体で出現数の多い名称が、どの段階でも同じ頻度で登場するとは限りません。

参照元の246ドメインのうち、URLの記録が1行だけだったものは187/246(76.0%)です。一方、URL行数の上位5ドメインが占める割合は53/397(13.4%)でした。情報源の分散を示す値であり、本文に登場したサービス数や推薦の集中度を示す値ではありません。

公的相談窓口1件、仲介会社2件、マッチングサービス2件を比較対象としました。全支援先の順位や成約実績を示すものではありません。

表2 確認対象5件の本文言及と指定ドメイン参照

 

対象内順位

名称と分類

本文言及

n/N・率

指定ドメイン参照

n/N・率

同じ回答での共起

1

事業承継・引継ぎ支援センター

公的相談窓口

59/100

59.0%

3/100

3.0%

3

2

BATONZ

マッチングサービス

49/100

49.0%

8/100

8.0%

7

3

日本M&Aセンター

仲介会社

47/100

47.0%

6/100

6.0%

6

4

TRANBI

マッチングサービス

42/100

42.0%

9/100

9.0%

8

5

ストライク

仲介会社

36/100

36.0%

4/100

4.0%

4

出典:Queue株式会社「LLMOナビ M&A仲介・事業承継支援業界AI検索可視化調査」(2026年9月)

順位は、この表に掲載した5件の本文言及出現回答数に限ります。指定ドメインとその下位ドメインを参照の対象とし、別ドメインの公式サイトまで網羅した値ではありません。共起は同じ回答に両方があった件数で、参照ページが紹介の根拠だったことの証明ではありません。

指定ドメイン:事業承継・引継ぎ支援センター=shoukei.smrj.go.jp/BATONZ=batonz.jp/日本M&Aセンター=nihon-ma.co.jp/TRANBI=tranbi.com/ストライク=strike.co.jp。

確認対象5件のいずれも本文に出ない回答は15/100(15.0%)でした。この値を「サービスが何も出ない回答」とは読み替えません。表に含めなかった会社、製品、窓口が登場する可能性があるためです。全名称の正規化を伴う業界全体の順位は、本記事では示していません。

表3 質問テーマごとの本文言及例

 

主テーマ

回答数

確認対象内での本文言及例

売却条件・引退・廃業

12

事業承継・引継ぎ支援センター 11/12(91.7%)/BATONZ 9/12(75.0%)

後継者探し・親族・従業員承継

8

事業承継・引継ぎ支援センター 7/8(87.5%)/BATONZ 2/8(25.0%)

業種別・継続買収

9

BATONZ 8/9(88.9%)/TRANBI 8/9(88.9%)

承継後・継続支援

10

日本M&Aセンター 4/10(40.0%)/事業承継・引継ぎ支援センター 3/10(30.0%)

出典:Queue株式会社「LLMOナビ M&A仲介・事業承継支援業界AI検索可視化調査」(2026年9月)

同じ意図に近い質問も含む観測結果です。10問未満のテーマは少数例として扱います。10問以上でも統計的な信頼性や再現性を保証するものではありません。

公的相談窓口の名称が59回答に登場する

事業承継・引継ぎ支援センターの名称は、全体で59/100(59.0%)に登場しました。売却条件・引退・廃業の12回答では11/12(91.7%)、後継者探し・親族・従業員承継の8回答では7/8(87.5%)です。後者は8問の少数例として扱います。

製造業の技術や設備を引き継ぐ買収の相談先を尋ねた回答では、公的相談窓口、地域金融機関、民間の仲介会社などが分けて紹介されました。窓口の名称が多く出ることを、特定の仲介会社の推薦数や成約力と同じ意味で読むことはできません。

中小機構の公式案内でも、事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継の相談窓口として示されています。本記事ではその役割を確認したうえで、仲介会社やマッチングサービスと別分類にしました。回答中の「無料」などの個別条件は、支援内容を確かめずに一般化していません。

支援事業者は、自社が初期相談、相手探し、交渉のどこを担うのかを、サービス案内で明確にできているか確認できます。次回は名称の出現だけでなく、最初の相談先、専門家の紹介先、実務の依頼先という役割を分けて追跡することが有用です。

買収先探しで出るマッチングサービスが承継後支援では少なくなる

業種別・継続買収の9回答では、BATONZとTRANBIが各8/9(88.9%)に登場しました。承継後・継続支援の10回答では、BATONZは1/10(10.0%)、TRANBIは0/10(0.0%)でした。買収先を探す場面と、その後の運営支援では、本文の名称に違いがあります。

事業承継後の経理や人事制度の統合を任せたいという質問では、回答は経営統合の支援、会計、人事労務などの専門家を挙げました。この回答の目的は相手の探索から実務の統合へ変わっています。プラットフォーム名の未出現は、実際のサービスに支援機能がないことの証明ではありません。

BATONZとTRANBIの公式サイトではM&Aの案件や支援の案内を確認しました。公開本文で述べているのは、今回の質問群で名称が出た場面の違いです。提供範囲や成約後支援を、回答だけから限定していません。9問の比較群には業種別の類似意図も含まれます。

事業者のWeb担当者は、成約までの支援と成約後の支援について、担当者、対象業務、依頼できる範囲が分かる案内になっているか確認できます。変更後は同じ承継後支援の10問で、名称が出るだけでなく、依頼候補として適切な役割で現れるかを検証してください。

仲介会社や窓口の本文言及は指定公式ドメインの参照と一致しない

日本M&Aセンターは47/100(47.0%)の本文に登場し、nihon-ma.co.jpとその下位ドメインの参照は6/100(6.0%)でした。両方が同じ回答にあるのは6件です。公式サイトが参照元にある回答数だけでは、会社名が本文に登場する範囲を把握しきれません。

BATONZは本文言及49/100(49.0%)、指定ドメイン参照8/100(8.0%)、共起7件でした。サイトが記録されても名称が本文に出ない回答が1件あります。参照数と言及数の差だけで、推薦の根拠や情報取得の経路を説明することはできません。

公的相談窓口の参照は、確認対象をshoukei.smrj.go.jpとその下位ドメインに限定しています。各地域のセンターが持つ別ドメインまでは合算していません。このように、どのサイトを対象に数えたかで参照率は変わるため、窓口の全公式情報への接触を測った値としては扱えません。

次回は本文言及と参照元の共起に加え、紹介された役割を確認します。たとえば仲介の依頼候補と、案件を探すための窓口では、担当者が点検するページも異なります。名称とドメインの範囲を引き継いで初めて、前月との差を同じ尺度で比較できます。

AI検索対策で次に検証すべきこと

営業・支援担当者とWeb担当者が、初期相談、相手探索、交渉、承継後支援の各ページを確認します。自社が担う部分と他の専門家につなぐ部分を区別し、今回の質問に対して対象範囲が伝わるかを点検してください。施策後は同じ質問で、本文言及、参照元、依頼候補としての役割を別々に測ります。成約件数や企業価値への効果は今回の調査対象外です。

実施した変更と日付を残し、元の質問群を維持して再計測します。追加した質問は別枠で管理し、率が変わった場合は分子・分母とポイント差を示してください。同時期のモデルや検索条件も記録し、ページの変更だけが原因と断定せず、回答内の説明と合わせて評価します。

調査の限界と次回検証

これは2026年9月の取得回答を対象とする単月の観測です。同業界の前月レポートや比較用引き継ぎ情報は提供されていないため、増加・減少や継続傾向は判定していません。Geminiの具体的なモデル版や履歴なども不明で、独立した同条件の100試行とみなすことはできません。

今回の出現数は、市場シェア、サービス品質、実利用者の評価、SEO順位、売上を表しません。Gemini以外のAI検索へ一般化することもできません。次回は質問文、分類、名称とドメインの範囲を固定し、実行条件の記録を補いながら比較します。

調査方法・出典

出典はQueue株式会社「LLMOナビ M&A仲介・事業承継支援業界AI検索可視化調査」(2026年9月)です。100問と100回答を質問本文で対応付け、本文の名称、参照元、検索の記録を再集計しました。主テーマは質問文の用途を基準に1問1つへ分類し、件数を均等にする調整はしていません。

企業・サービスの役割は公式案内も確認しました(確認日: 2026-09-20 )。料金、機能、実績などAI回答に含まれる個々の主張を網羅的に検証したものではありません。未確認の条件や実績を、事実として本文へ転記していません。