オフィス移転、店舗出店、物流倉庫、社宅、CRE戦略など、法人が不動産会社を探す場面は一つではありません。生成AIに「東京でオフィス移転を相談するなら?」「物流施設を探すなら?」「CRE戦略を相談できる会社は?」と聞いたとき、同じ企業が候補として出続けるのでしょうか。

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、法人向け不動産に関する100個の非指名質問をGeminiに入力し、回答本文で言及された企業・サービスと、回答生成時の参照元として記録されたWebページを分析しました。

その結果、100回答中97回答でWeb検索が発火しました。表記を整理して本文を再集計するとCBREは30/100回答で登場した一方、「CRE・保有不動産活用」の10問では0/10でした。

法人向け不動産のAI検索では、全体の出現順位だけでなく、「何を相談したときに名前が出るか」を見ることが重要です。

調査概要

項目

内容

調査主体

Queue株式会社/LLMOナビ

調査目的

法人向け不動産領域におけるGemini回答内の企業・サービス名と参照元の可視化

対象業界

法人向け不動産会社・事業用不動産関連サービス

対象顧客

オフィス、店舗、物流・工場、社宅、CRE等を検討する法人

対象AI

Gemini

調査設計上の質問数

100問

取得回答数

100回答

分析対象回答数

100回答

調査年月

2026年9月

非指名と確認できた質問数

100問

地域

JP

言語

日本語

Web検索発火

97回答

事前学習ベース

3回答

確認できなかった実行条件

Gemini詳細モデル、アプリ/APIの別、正確な実行日時、検索設定、会話履歴、個人化等

ここでいう「非指名質問」とは、CBREやJLLなど特定企業・サービス名を質問文にあらかじめ入れず、「オフィス探しに強い不動産会社は?」「法人で倉庫を借りるなら?」のように目的や条件から尋ねる質問です。

本記事で使う「参照元・本文言及・推薦」の読み方

「参照元」は、Geminiが回答を生成する際に参照したものとして記録されたWebページ・ドメインです。

「本文言及」は、企業・サービス名が回答本文に1回以上登場した状態です。同じ回答で何度登場しても、回答単位では1件として数えます。

「推薦」は、単なる情報源や説明対象ではなく、問い合わせ、相談、仲介依頼などの候補として提示された状態を指します。

今回の元データでは、全企業・サービスについて推薦役割を統一基準で判定していません。そのため、本記事の主要比較には「本文言及出現回答数」を使います。

調査結果の全体像:100回答中97回答でWeb検索が発火

Queue株式会社のLLMOナビによる9月調査では、100回答中97回答でWeb検索が発火しました。

検索発火した97回答で、Geminiの回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリは合計408件。1回答あたり平均4.21件、中央値4件でした。

参照元は延べ1,334件、ユニークURLは942件、ユニークドメインは576件です。

検索発火回答1件あたりの参照元は平均13.75件でした。

今回検索が発火しなかったのは、

  • 50人規模の会社のオフィス移転

  • 賃料を抑えたオフィス移転

  • 工場の移転先

に関する3回答です。

一方、一般的なオフィス移転、地域別オフィス探し、店舗出店、CREなど多くの質問ではWeb検索が使われています。

ただし、97%という検索発火率は回答の正確性や企業・サービス品質を示すものではありません。

法人向け不動産業界のAI検索回答の特徴と押さえるべきポイント

今回の100回答では、大きく4つの特徴が確認されました。

第一に、CBREのように幅広い質問で登場する企業があります。

第二に、企業名の本文言及と、その企業に関連するWebサイトの参照数が比較的重なる企業もあれば、大きく離れる企業もあります。

第三に、法人向け不動産という大分類で上位でも、CRE、物流、社宅など具体的な用途では候補にならない場合があります。

第四に、全体では出現数が少ない専門サービスでも、利用場面を絞ると複数の回答で繰り返し登場します。

そのためAI検索可視性を確認する際、「法人向け不動産会社」という1つの大きな質問群だけで順位を見るのでは不十分です。

オフィス移転、店舗、物流、社宅、CREなど、自社が実際に獲得したい相談テーマごとに測定する必要があります。

表記統合後、CBREは100回答中30回答に登場

元の自動言及ランキングでは、CBREの出現回答数は16/100でした。

しかし回答本文には、

「CBRE」

「CBRE(シービーアールイー株式会社)」

「CBRE(シービーアールイー)」

など複数の表記があります。

明確に同じ対象と判断できる表記を回答単位で統合して再集計すると、CBREは30/100回答に登場しました。

続いて、

  • 三菱地所リアルエステートサービス:15/100

  • ケン・コーポレーション:14/100

  • 三幸エステート:13/100

  • 三井不動産リアルティ:13/100

  • JLL:13/100

でした。

これは売上高、仲介実績、企業規模、顧客満足度のランキングではありません。

今回の100の非指名質問に対し、Geminiの回答本文で企業名が確認された回答数を示しています。

法人向け不動産では企業名、ブランド名、検索サービス、内装・移転支援サービスなどが同じ回答内に混在するため、役割が異なる対象を単純に同列比較しないことも重要です。

CBREは本文30回答、cbre.co.jp参照26回答

主要企業について関連ドメイン参照と本文言及を同じ回答単位で比較すると、企業によって関係が異なります。

CBREは本文言及30/100、cbre.co.jp参照26/100で、24回答では両方が確認されました。

ケン・コーポレーションは本文14/100、kencorp.co.jp参照14/100で、14回答すべてで両方が確認されています。

一方、三井不動産リアルティは本文13/100に対し、mf-realty.jp参照は4/100でした。

JLLは本文13/100、jll.com参照15/100で、両方が確認されたのは9回答です。

この結果から、法人向け不動産でも「自社サイトが参照されること」と「自社名が回答本文に出ること」を分けて確認する必要があります。

CBREやケン・コーポレーションのように両者が多く重なる企業がある一方、本文言及の方が多い企業や、関連サイト参照の方が多い企業もあります。

ただし、両方が同じ回答に存在したからといって、その参照ページが企業の推薦を直接生み出したとは断定できません。

全体1位のCBREでも、CRE・保有不動産活用10問では0回答

今回の調査で特に重要なのが、質問テーマを変えたときの候補企業の入れ替わりです。

CBREは全100問では30回答に登場しました。

しかし、「CRE戦略を相談できる不動産会社」「企業が保有する不動産をまとめて見直したい」「遊休不動産の活用を相談したい」といった「CRE・保有不動産活用」の10問では、CBREの本文言及は0/10でした。

一方、この10問では、

  • 三菱地所リアルエステートサービス:5/10

  • 東急リバブル:4/10

  • TreSette:3/10

  • 中央日土地ソリューションズ:3/10

  • 三井住友信託銀行:3/10

  • 日本不動産研究所:3/10

が登場しています。

これは「CBREがCREに向いていない」ことを示すものではありません。

あくまで今回用意した10問に対するGemini回答で、名称が確認されなかったという観測です。

一方で、全体ランキングと特定用途での候補構成が同じではないことは明確です。

企業がAI検索対策を考える際も、「法人向け不動産会社 おすすめ」という広い質問だけでなく、自社が獲得したい具体的な相談内容で確認する必要があります。

物流8問・社宅5問では専門サービスが前面に出る

同じ傾向は、さらに専門性の高い質問にも見られました。

「倉庫・物流・工場」は8問の少数例ですが、

  • CBRE:5/8

  • コジョソコ:5/8

  • ロジファクター:5/8

  • ASSORT:5/8

が登場しました。

「社宅・不動産業務アウトソース」も5問の少数例ですが、

  • 日本社宅サービス:5/5

  • スターツコーポレートサービス:4/5

  • 東急社宅マネジメント:4/5

  • リロケーション・ジャパン:4/5

  • レオパレス・リーシング:4/5

でした。

店舗出店6問でも、レスタンダード4/6、イリオス3/6、飲食店ドットコム3/6と、100問全体では上位に入らない対象が複数回答に登場しています。

これらは10回答未満の少数例であり、業界全体の安定した順位とみなすことはできません。

ただし、条件を具体化すると総合的な上位企業だけでなく、専門サービスが回答候補へ入ることを示す探索的な観測としては重要です。

参照元上位はcbre.co.jp26回答、ippooffice.co.jp18回答

参照元を回答単位で集計すると、

  • cbre.co.jp:26/100

  • ippooffice.co.jp:18/100

  • officetar.jp:16/100

  • jll.com:15/100

  • growth-office.com:15/100

が上位でした。

一方、本文言及上位はCBRE、三菱地所リアルエステートサービス、ケン・コーポレーション、三幸エステートなどです。

参照元と本文企業名は一部重なりますが、完全に同じ並びではありません。

また、参照元のURLレコード数ではcbre.co.jp29件、officetar.jp24件、ippooffice.co.jp21件、kencorp.co.jp21件、jll.com18件でした。

「何回答で参照されたか」と「延べ何URLが記録されたか」は意味が異なるため、月次比較でも分けて追跡する必要があります。

AI検索対策で次に検証すべきこと

法人向け不動産会社が次に確認すべきなのは、自社が獲得したい相談テーマごとのAI可視性です。

オフィス仲介であれば、

  • 50人規模

  • 100人規模

  • 増床

  • 縮小

  • ハイブリッドワーク

  • 賃料削減

  • 居抜き・セットアップ

  • 短期移転

などに質問を分けます。

物流分野であれば、

  • 貸倉庫

  • 物流施設

  • 配送拠点

  • 工場移転

  • 工場・倉庫一括

を分けます。

CRE領域であれば、

  • CRE戦略

  • 保有不動産見直し

  • 遊休資産活用

  • 自社ビル売却

  • 不動産コスト削減

などを固定します。

そのうえで、

  1. 自社名が回答本文に登場した回答数

  2. 自社関連ドメインが参照された回答数

  3. 具体的な相談候補として提示された回答数

  4. どの質問テーマで登場したか

を別々に測ることが重要です。

たとえばCRE関連ページを改善した後にGemini回答で企業名が増えたとしても、ページ改善だけが原因だとは1回の測定では証明できません。

同じ質問、同じAI、同じ地域・言語、同じ表記統合ルールを固定し、複数回・複数月で変化を観測する必要があります。

また、今回のように自動抽出と回答本文再集計の差が大きい業界では、表記ゆれを統合するルールも月次で固定しなければなりません。

調査の限界と次回検証

今回の調査は、2026年9月に取得したGeminiの100回答を対象とする単月観測です。

ChatGPT、Google AI Overview、AI Modeなど、他のAIサービスへ一般化することはできません。

Geminiの詳細モデル、アプリ/APIの別、正確な実行日時、検索設定、会話履歴、個人化条件も確認できていません。

テーマ別の質問数は5〜20問と異なり、物流8問、店舗6問、社宅5問など10回答未満のテーマもあります。

したがって、テーマ内の出現率を統計的に有意な企業優位性や業界全体の普遍的傾向として扱うことはできません。

またGemini回答には、取引実績、物件数、仲介実績、対応エリア、費用などの具体情報が含まれていますが、本調査ではそれらすべてを各社の最新公式情報と一件ずつ照合していません。

AI回答への本文言及数は、企業規模、実際の仲介件数、サービス品質、顧客満足度、市場シェアを示すものでもありません。

次月以降は、同じ100問、同じテーマ分類、同じ表記統合ルールをできる限り固定し、全体順位だけでなく用途別の本文言及と参照元の変化を追跡する必要があります。

調査方法・出典

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査として、法人向け不動産に関する100個の非指名質問をGeminiに入力しました。

取得した100回答について、Web検索発火状況、回答本文、参照元URL・ドメイン、Geminiの回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリを分析しています。

企業・サービスの本文言及は回答単位で再集計し、明確に同一実体と確認できる表記のみ統合しました。

企業、サービス、検索ポータル、移転・内装サービス等は可能な範囲で区別しています。

出典:Queue株式会社「LLMOナビ 法人向け不動産会社 AI検索可視化調査」(2026年9月)