結婚相談所を探すとき、生成AIに「初めて入るならどこがいい?」「半年活動した場合に安いところは?」「50代からの婚活なら?」と相談する使い方が考えられます。では、質問の条件が変わったとき、Geminiが挙げる相談所や参照するWebサイトはどのように変化するのでしょうか。

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、結婚相談所業界に関する100個の非指名質問をGeminiに入力し、回答本文に登場した相談所・サービスと、回答生成時に参照元として記録されたWebページを分析しました。

その結果、100回答中94回答でWeb検索が発火しました。一方、相談所名の出現状況は質問テーマによって大きく異なり、関連サイトが参照されたからといって、その相談所が必ず回答本文の候補になるわけでもありませんでした。

さらに、入会前の相談を想定した質問では、Web検索が発火しているにもかかわらず、結婚相談所以外のサービスへ回答が広がるケースも確認されています。

調査概要

項目

内容

調査主体

Queue株式会社/LLMOナビ

調査目的

結婚相談所領域におけるGemini回答内の相談所・サービス名と参照元の可視化

対象業界

結婚相談所・婚活支援サービス

対象AI

Gemini

調査設計上の質問数

100問

取得回答数

100回答

分析対象回答数

100回答

調査年月

2026年9月

非指名質問

100問

地域

JP

言語

日本語

Web検索発火

94回答

事前学習ベース

6回答

確認できなかった条件

Geminiの詳細モデル、アプリ/APIの別、正確な実行日時、検索設定、会話履歴・個人化等

ここでいう「非指名質問」とは、原則として特定の結婚相談所名やサービス名を質問文に入れず、利用者の目的や条件だけで尋ねる質問です。

たとえば、「50代からの婚活に詳しい相談所の候補を教えて」「月会費を抑えて婚活を続けるなら、どこがいい?」「交際相手との結婚観のすり合わせを支援する相談所を選びたい」といった質問を対象としています。

本記事で使う「参照元・本文言及・推薦」の読み方

「参照元」は、Geminiの回答生成時に参照されたものとして記録されたWebページやドメインです。

「本文言及」は、結婚相談所やサービスの名称が回答本文に1回以上登場した状態を指します。同じ回答内で同じ相談所名が何度書かれていても、回答単位では1件として数えます。

「推薦」は、単なる説明や情報源としての登場ではなく、利用・入会・相談などの候補として提示されたケースを指します。

今回の元データには全サービスを統一基準で判定した推薦フラグがないため、ランキングの主指標には本文言及出現回答数を使用しました。

調査結果の全体像:100回答中94回答でWeb検索が発火

Queue株式会社のLLMOナビによる9月調査では、100回答中94回答でWeb検索が発火しました。事前学習ベースとして記録された回答は6回答です。

検索発火した94回答では、Geminiの回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリは平均4.23件、中央値4件でした。

参照元レコードは全体で1,189件、ユニークURLは970件、ユニークドメインは531件です。検索発火回答1件あたりでは、平均12.65件の参照元が記録されていました。

この結果から、今回の質問群では、Geminiが既存知識だけで答えるよりもWeb検索を組み合わせて回答したケースが多かったことが分かります。

ただし、検索が発火したこと自体は、正確な相談所候補が提示されたことを意味しません。何を検索し、どの情報をもとに、最終的にどの相談所名を回答へ出したのかを分けて確認する必要があります。

結婚相談所業界のAI検索回答の特徴と押さえるべきポイント

今回の100回答では、大きく4つの特徴が確認されました。

第一に、一部の大手・主要サービスは多数の回答に登場しましたが、全質問で一律に出るわけではありません。

第二に、相談所の関連ドメインが参照元に含まれることと、その相談所名が回答本文に登場することは一致しません。

第三に、料金、年齢、地域、婚活上の悩みなど質問テーマを変えると、候補となる相談所の構成も変化します。

第四に、「無料相談」「資料請求」「入会条件」など入会直前の質問でも、質問文だけでは結婚相談所の文脈が十分に伝わらず、別業界のサービスが回答に混在する例がありました。

表記統合後ではツヴァイが41回答、パートナーエージェントが28回答に登場

元データでは「ツヴァイ」と「ツヴァイ(ZWEI)」などが別々に集計されていました。そこで同一サービスと確認できる表記を統合し、100回答の本文を回答単位で再集計しました。

その結果、ツヴァイは41/100回答、パートナーエージェントは28/100回答、オーネットは21/100回答、サンマリエは20/100回答、エン婚活エージェントとIBJメンバーズはそれぞれ19/100回答に登場しました。

ここで注意したいのは、この数字が「おすすめ順位」や「結婚相談所としての品質順位」を意味するものではないことです。

たとえば、ある回答では候補として具体的に紹介される一方、別の回答では他社との比較説明やサービスの仕組みを説明する文脈で名前が出る場合があります。

また、「IBJメンバーズ」と「IBJ/日本結婚相談所連盟」は、回答内で異なる役割を持つため、本記事では別対象として扱っています。

全体上位でも、質問テーマを変えると出現数は大きく変わる

相談所名の出現は100問全体で均等ではありません。

たとえばツヴァイは100回答中41回答に登場しましたが、「婚活課題・成婚目標」の10問では9/10回答に登場しました。

一方、「入会前・相談前」の10問では0/10でした。

パートナーエージェントも、「全般・比較・選定」「年齢・属性」「婚活課題・成婚目標」ではそれぞれ5/10回答に登場した一方、入会前・相談前の10問では登場が確認できませんでした。

エン婚活エージェントは、「料金・費用」の質問では5/10回答に登場しています。オンライン型や料金を比較する質問との組み合わせで名前が出るケースが複数確認されました。

つまり、100問全体の順位だけを見ても、「どの質問で候補になるのか」までは分かりません。

AI検索上の可視性を確認するときは、「結婚相談所」という大きなカテゴリの順位だけではなく、料金、年齢、地域、再婚、活動サポート、働き方など、ユーザーが実際に相談するテーマ単位で確認する必要があります。

関連サイトが参照されても、その相談所名が回答に出るとは限らない

参照元と本文言及を比較すると、両者は一致しませんでした。

ツヴァイは41回答で本文言及が確認された一方、zwei.comを参照元に含む回答は39回答でした。両方が同じ回答で確認されたのは29回答です。

パートナーエージェントは本文言及28回答、p-a.jp参照26回答、両方が確認されたのは21回答でした。

サンマリエでは本文言及20回答に対し、sunmarie.co.jp参照は10回答、両方が確認されたのは6回答です。

エン婚活エージェントは本文言及19回答、en-konkatsu.com参照17回答、両方11回答でした。

オーネットは本文言及21回答でしたが、onet.co.jp参照は7回答で、両方が確認されたのも7回答でした。

この違いから、AI検索可視性では「自社サイトが参照されたか」と「自社名が回答に出たか」を別々に確認する必要があります。

公式・関連サイトが参照されずに相談所名が出る場合、比較サイトなど第三者情報やGeminiが保持する既存情報が関係している可能性もあります。

反対に、関連サイトが参照されても、その相談所が最終回答の候補として名前を挙げられないケースもあります。

ただし、同じ回答で参照と本文言及が同時に確認されたとしても、そのWebページが相談所名を出す直接の原因だったとは断定できません。

入会前・相談前の10問はすべて検索発火、それでも相談所候補が出ないケースが目立った

今回特に注目したいのが、入会直前を想定した質問です。

「平日の夜にオンラインの入会相談に対応しているところは?」「無料相談を予約したい」「資料請求先を知りたい」「休会・退会・返金の条件を知りたい」といった10問では、10/10回答でWeb検索が発火しました。

一方、本文言及上位6サービスのいずれかが登場した回答は10問中1問だけでした。

さらに少なくとも4回答では、結婚相談所以外の領域が主要な回答内容に混在しました。

たとえば「平日の夜にオンラインの入会相談に対応しているところは?」という質問では、心理カウンセリング、専門学校、資産運用相談などが提示されています。

「料金と支援内容を資料で確認できる相談所の資料請求先を知りたい」という質問では、最初に行政書士や法律事務所の資料・料金情報が紹介され、その後に結婚相談所について触れる構成になりました。

ここから、「Web検索が発火している=質問意図に合った具体的な相談所を探している」とは限らないことが分かります。

質問文の中に結婚相談所という業界文脈が明示されていないことが影響した可能性はありますが、今回の質問間には他の条件差もあるため、特定の単語の有無が原因だとは断定できません。

次回は、同じ意図について「結婚相談所」という語を含む質問と含まない質問をペアで設計し、回答内容・検索クエリ・相談所名の出現を比較することで検証できます。

Geminiが参照した情報源は531ドメインに分散

参照元も一部のサイトだけに集中していたわけではありません。

参照元出現回答数では、ibjapan.comが41/100回答、zwei.comが39/100回答、p-a.jpが26/100回答、mwed.jpが25/100回答、kekkon.kuraveil.jpが22/100回答で確認されました。

全体では531の異なるドメインが参照されています。

これは、今回取得したGemini回答が、相談所側のサイトだけでなく、さまざまな婚活・比較・情報ページを組み合わせて生成されていたことを示します。

ただし、参照元が多いことだけから「情報が浅い」「権威性が低い」と判断することはできません。

AI検索対策では、単に自社ドメインの引用回数を増やすことだけを目標にするのではなく、「どの質問テーマで参照され、その回答で自社サービスがどの役割で登場しているか」まで確認する必要があります。

AI検索対策で次に検証すべきこと

今回の結果から、結婚相談所がAI検索上の可視性を検証するときは、まず質問テーマ別に状況を分解することが重要です。

たとえば料金ページを改善する場合は、「安い結婚相談所」という一つの質問だけを見るのではなく、初期費用、月会費、半年間の総額、成婚料、お見合い料、紹介可能人数など、実際にユーザーが比較する質問群を固定して再調査します。

年齢についても、20代、30代、40代、50代、60代以上、再婚、子どもがいるケースなどを分け、どの条件で自社名が登場するかを見る必要があります。

次に、「サイトが参照されたか」と「サービス名が本文に登場したか」を別KPIとして測ります。

関連ドメインの参照回答数だけが増えて本文言及が増えない場合と、本文言及は増えたものの関連サイト参照が増えない場合では、次に検証すべき情報経路が異なります。

さらに、入会前・相談前の質問では、業界文脈が正しく維持されるかを確認すべきです。

「平日の夜に相談できる結婚相談所は?」「結婚相談所の無料相談を予約したい」のように対象カテゴリを明示した質問と、カテゴリ名を省略した質問を比較し、相談所候補の出現数や検索クエリがどのように変わるかを検証する価値があります。

これは、特定キーワードを入れればAI検索で上位になるという意味ではありません。質問意図と回答の関係を検証するための実験設計です。

調査の限界と次回検証

今回の調査はGeminiの100回答を対象とした単月の観測です。

ChatGPT、Google AI Overview、AI Modeなど、他のAI検索結果へ一般化することはできません。

また、Geminiの詳細モデル、アプリ/APIの別、正確な実行日時、検索設定、会話履歴、個人化条件など、一部の実行条件は確認できませんでした。

各質問テーマも10問単位であり、今回確認された差を統計的に有意な業界傾向とみなすことはできません。

Gemini回答内には料金、会員数、成婚率、サポート内容など多数の数値や条件が記載されていますが、それらが各相談所の公式な最新情報と一致するかを今回の調査で網羅的に確認したわけではありません。

AI回答に多く登場した相談所が、サービス品質や利用者満足度、市場シェアで優れていることを意味するものでもありません。

次月以降は、同じ100問、同じ表記統合ルール、同じテーマ分類を使用し、検索発火率、本文言及出現率、関連ドメイン参照率、テーマ別出現率を継続して確認することで、単月の揺れと継続的な変化を分けて見る必要があります。

調査方法・出典

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査として、結婚相談所・婚活支援に関する100個の非指名質問をGeminiに入力しました。

100回答について、検索発火状況、回答本文、参照元URL・ドメイン、Geminiの回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリを分析しています。

本文言及は回答単位で集計し、「ツヴァイ/ツヴァイ(ZWEI)」など同一実体と判断できる表記のみ統合しました。

企業・サービス、結婚相談所連盟、比較・情報サイトなど役割の異なる対象は、原則として別々に扱っています。

出典:Queue株式会社「LLMOナビ 結婚相談所業界 AI検索可視化調査」(2026年9月)