採用支援会社を探すとき、Geminiはどの情報を参照し、どのサービスを候補として挙げるのでしょうか。Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、企業の採用課題を想定した100個の非指名質問をGeminiに入力しました。その結果、よく参照されるWebサイトと、回答本文でよく推薦されるサービスは必ずしも同じではなく、採用課題を具体化すると候補も大きく入れ替わることが分かりました。
調査概要
「非指名質問」とは、特定の企業名やサービス名を原則として含めず、「母集団形成に強い人材会社」「ハイクラス人材の採用に強い会社」など、課題や条件から候補を尋ねる質問です。本調査では、採用担当者が実際に比較・相談へ進む場面を想定した100問を使用しました。
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項目 |
内容 |
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調査主体 |
Queue株式会社/LLMOナビ |
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調査目的 |
採用支援会社・サービスのAI回答内での引用、言及、推薦の構造を把握する |
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対象業界・対象顧客 |
人材・採用支援業界/採用課題を持つ企業 |
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対象AI |
Gemini(モデル名・バージョン、アプリかAPIかは確認できず) |
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調査設計上の質問数 |
100問 |
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取得回答数・有効回答数 |
100件・100件 |
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調査年月 |
2026年9月(正確な実行日時は確認できず) |
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非指名と確認できた質問数 |
100問 |
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地域・言語 |
JP/回答は日本語 |
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検索に関する記録 |
96回答で検索発火、4回答は事前学習のみ。検索クエリの記録は合計390件 |
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確認できなかった条件 |
モデルの詳細、実行日時、検索設定、会話履歴、実行回数 |
今回の100問には、採用体制、企業規模、地域、年齢・ハイクラス、専門職、業界別人材、派遣・業務委託、スカウト・採用品質、採用プロセス改善といった意図を含め、質問本文だけで九つの主テーマに分類しました。
本記事で使う「参照元・言及・推薦」の読み方
数値を見る前に、三つの登場方法を分けます。「参照元」は、Geminiの回答生成時に参照先として記録されたWebページです。「本文言及」は、企業名やサービス名が回答本文に1回以上出た状態を指します。「推薦」は、その企業・サービスが利用、相談、依頼などの候補として本文で提示された状態です。単なる情報源や事例としての登場は推薦に含めません。
「出現回答率」は、対象が登場した回答数を対象回答数で割った割合です。同じ回答内で同じ対象が繰り返されても1件と数えます。1回答には複数の候補が出るため、企業別・サービス別の出現回答率を合計しても100%にはなりません。
なお、今回のデータには、本文の一文と参照元URLを直接ひも付ける情報がありません。そのため、参照元一覧に現れた割合は算出できますが、「そのページがどの主張の引用根拠になったか」を示す本文引用率は算出していません。
調査結果の全体像
Queue株式会社のLLMOナビによる9月調査では、100件すべてで回答を取得でき、96件で検索が実行されました。参照元として記録されたのは1,195件、896ユニークURL、509ドメインです。1回答あたりの参照ドメイン数は平均11.28件、中央値11件でした。
本文の主要サービス名は、明確な表記揺れだけを統合し、専門ブランドを別にすると、リクルートエージェントが33/100、dodaが31/100、JACリクルートメントが24/100、マイナビ転職エージェントが22/100、ビズリーチが20/100でした。推薦として数えると、リクルートエージェントは31/100で、ほかの4サービスは本文言及と同数でした。リクルートエージェントの2件は、採用市場データや辞退防止情報の提供元としての登場であり、利用候補としての推薦ではありません。

この順位は市場シェアやサービス品質の順位ではありません。あくまで、今回設定した100問に対するGemini回答で、どの名称がどの役割で登場したかを示しています。
採用支援業界のAI検索回答の特徴と押さえるべきポイント
今回の回答構造には、三つの特徴がありました。
第一に、情報源は広く分散しています。509ドメインのうち327ドメイン、64.2%は1回答だけに登場しました。上位5ドメインを合計しても、参照元1,195件の148件、12.4%です。一部のサイトだけで回答が構成されているわけではありません。
第二に、正規化前の603名称のうち444、73.6%は1回答にしか出ませんでした。ただし、表記揺れや一般カテゴリも含むため、444の異なるサービスがあるとは解釈できません。企業、サービス、専門プラン、比較サイトを分ける必要があります。
第三に、候補は質問テーマで入れ替わります。全体上位のサービスが、すべての採用課題で同じように登場するわけではありません。地域採用の4問ではリクルートエージェント、doda、マイナビ転職エージェントがそれぞれ4/4で出た一方、派遣・業務委託の10問では3サービスとも0/10でした。地域採用は4問と少ないため一般化はできませんが、質問条件による候補変化を示す例にはなります。

よく参照されるサイトと、よく推薦されるサービスは別だった
参照元出現回答率の上位は、neo-career.co.jpが37/100、service.circus-group.jpが36/100、imitsu.jpが21/100、outside.no-limit.careersが20/100、coeteco.jpが17/100でした。一方、同じ名称が回答本文に出たのは、ネオキャリア18/100、circusAGENT 5/100、PRONIアイミツ0/100、NO-LIMIT 1/100、コエテコ0/100です。
これは、参照されたページの運営者が、そのまま利用候補として推薦されるわけではないことを示します。たとえば、circusAGENTの公式サイトは複数の人材紹介会社と採用企業をつなぐプラットフォームです。PRONIアイミツは発注先の比較・紹介・見積もりを支援する窓口です。こうしたサイトは比較材料の供給源として使われても、最終回答では個別の人材紹介サービスが候補に挙がる場合があります。
一方、リクルートエージェントやdodaは、参照元上位5ドメインに対応する名称ではありませんが、推薦候補では上位でした。AI検索上の可視性は、公式サイトの参照だけでなく、本文での情報源・事例・推薦という役割まで分けて測る必要があります。

採用品質・サーチの質問ではJACとビズリーチが61.5%に達した
「転職市場に出ていない優秀な人材へアプローチしたい」「候補者を厳選して紹介してほしい」など、サーチ手法と採用品質を主題にした13問では、JACリクルートメントとビズリーチがそれぞれ8/13、61.5%の回答に登場しました。リクルートエージェントは3/13、23.1%、dodaは1/13、7.7%です。
この差は、単に企業名の知名度だけでなく、質問が求めるサービスの役割に対応しています。JAC Recruitmentの法人向け公式ページはハイクラス人材の紹介を掲げ、法人向けビズリーチの公式FAQは、人材紹介ではなく企業がデータベースから候補者を探して直接スカウトする採用プラットフォームだと説明しています。同じ「優秀な人材の採用」でも、紹介、ヘッドハンティング、直接スカウトは別の選択肢です。
ただし、13問にはハイクラスや直接アプローチを想起しやすい条件が複数含まれます。したがって、特定の一語が出現率を押し上げたとは断定できません。次回は、職種・年収・地域を固定し、「紹介してほしい」と「直接スカウトしたい」だけを変えた比較質問で、サービス形態の影響を確かめる必要があります。
派遣・業務委託では全体上位の顔ぶれが消えた
雇用形態を派遣・紹介予定派遣・業務委託・フリーランスに限定した10問では、リクルートエージェント、doda、JACリクルートメント、ビズリーチはいずれも0/10でした。代わって、アデコが3/10、ネオキャリアとランスタッドが各2/10に登場しました。
全体順位だけを見ると見落としやすいものの、ユーザーが求める契約形態を明示すると、Geminiは総合型の転職・人材紹介サービスから、派遣や外部人材活用に対応する事業者へ候補を切り替えています。ここから得られる実務上の示唆は、「人材サービス」という大きなカテゴリだけで情報を整えるのではなく、正社員紹介、派遣、紹介予定派遣、業務委託など、対応できる契約形態と利用場面を別ページまたは明確なセクションで示し、テーマ別に再調査することです。
採用プロセス改善ではネオキャリアが8/10で登場した
採用市場データ、採用ブランディング、求人票、採用サイト、面接、辞退防止、課題分析などを扱う10問では、ネオキャリアが8/10、80.0%の回答に登場しました。リクルートエージェントは2/10、dodaは1/10です。ネオキャリアの8件のうち、利用候補としての推薦は7件で、1件は辞退防止情報の提供元としての登場でした。
この結果は、プロセス改善の質問では「候補者を紹介する会社」だけでなく、採用代行、制作、運用改善まで含む支援範囲が選定軸になる可能性を示します。ネオキャリアの公式サービス一覧でも、人材紹介に加え、採用代行、採用サイト・動画、スカウト代行など複数の採用支援が示されています。
一方、単月10問の結果だけで、同社が採用プロセス改善全般で優位だとは断定できません。質問群の中で同じ企業が繰り返し出やすい表現が含まれていた可能性もあります。次回は「求人票改善」「面接設計」「内定辞退」「採用サイト」の小テーマごとに質問数をそろえ、各回答での役割を分けて検証する必要があります。
企業向けの質問でも、求職者向けの説明が選定理由に混ざった
もう一つの注意点は、質問者を企業の採用担当者に設定していても、回答の一部が求職者向けの視点へ寄ることです。たとえばAI人材や人事担当者の採用を尋ねた回答で、企業側の母集団や採用プロセスではなく、求職者向けの求人件数、応募書類の添削、面接対策、転職後の年収がサービスの説明に使われました。
企業が知りたい候補者獲得の仕組みや支援範囲と、求職者が知りたい求人・転職支援が混在しています。企業向けページでは、対象職種、契約形態、支援範囲、料金発生条件を企業側の主語で明示し、再調査で回答理由を確認する必要があります。
AI検索対策で次に検証すべきこと
第一に、参照と推薦を別々のKPIにします。公式ページが参照元に入った回答数、本文で企業・サービス名が出た回答数、利用候補として推薦された回答数を、それぞれ回答単位で記録します。引用だけを増やすのか、候補入りまで目指すのかで改善対象は変わります。
第二に、ページと質問テーマを対応させます。総合的な会社紹介だけでなく、派遣、ハイクラス、専門職、採用代行、求人票改善など、実際に答えられるテーマごとに対象者、対応範囲、利用条件を確認します。施策後は、同じ質問・同じGemini条件で、テーマ別の参照元出現率、本文言及率、推薦出現率を測ります。
第三に、紹介会社、採用プラットフォーム、比較・相談窓口を同じ「人材会社」として扱う回答がないかを確認し、公式ページでも違いを明確にします。
第四に、質問設計を固定した再調査を行います。次月はモデル、実行方法、地域、言語、検索設定、会話履歴、試行回数を記録し、同じ100問を再実行します。テーマごとの質問数も維持し、順位変化と対象自身の出現数変化を分けて比較します。
調査の限界と次回検証
本調査は、2026年9月に取得したGeminiの100回答を観測したものです。市場シェア、企業規模、サービス品質、採用成功率、実利用者の評価を測ったものではありません。Geminiのモデル詳細と実行条件の一部が不明なため、同じ質問でも再実行時に結果が変わる可能性があります。
また、参照元と回答本文の文単位対応がないため、あるページが特定の推薦を直接支えたとは断定できません。表記揺れの統合も主要サービスに限定しています。前月データがないため、今回の差は増減ではなく単月の分布です。
次回は、参照元と本文の対応、候補の提示順、明示的な第一候補と条件付き候補、情報源としての登場を回答箇所ごとに記録します。そのうえで同じ条件の月次データを積み上げれば、「何が多かったか」だけでなく、「どの質問条件で、どの役割が変化したか」を比較できます。
調査方法・出典
Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」が、人材・採用支援業界に関する100個の非指名質問をGeminiへ入力し、回答本文に登場した企業・サービス名、参照元として記録されたWebページ、回答生成時に使用されたものとして記録された検索クエリを集計しました。質問は回答を見る前に九つの主テーマへ分類し、主要サービスの表記揺れを回答単位で統合しました。推薦は本文を再確認し、利用・相談・依頼の候補として提示された場合だけ数えています。
出典:Queue株式会社「LLMOナビ 人材・採用支援業界AI検索可視化調査」(2026年9月)
