AIにWeb制作会社を尋ねたとき、どの会社の名前が回答に現れ、その回答はどのWebサイトを情報源としているのでしょうか。

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、Web制作会社の選定やサイト制作、UI/UX改善、CMS、運用保守などに関する100個の非指名質問をGeminiに入力し、回答と参照元を分析しました。

今回見えてきたのは、単純な「AIにおすすめされる会社ランキング」ではありません。Geminiが情報源として参照するサイトは広く分散し、回答本文で名前が登場する企業・サービスも多数に分かれていました。さらに、参照元として頻繁に使われることと、回答本文で名前が多く言及されることは必ずしも一致しません。

調査概要

項目

内容

調査主体

Queue株式会社/LLMOナビ

調査目的

Web制作業界におけるAI検索上の想起・可視性の把握

対象

Web制作会社・関連サービスを探すユーザーを想定した質問

対象AI

Gemini

調査設計上の質問数

100問

取得回答数

100件

非指名と確認できた質問数

100問

調査年月

2026年9月

地域

JP

言語

日本語の質問文

検索発火

95回答

事前学習による回答

5回答

確認できなかった条件

Geminiの具体的モデル名、アプリ/APIの別、正確な実行日時、会話履歴、詳細な検索設定など

ここでいう「非指名質問」とは、特定の会社名やサービス名を質問文にあらかじめ含めず、「Web制作会社を比較したい」「CMS導入を任せられる会社は?」など、ユーザーの目的や条件から候補を探す質問です。

なお、今回確認できたのはGeminiの回答です。市場シェア、制作会社としての品質、実利用者の評価、検索需要そのものを測定した調査ではありません。

本記事で使う「参照元・本文言及・推薦」の読み方

AI検索の可視性を見るうえでは、少なくとも3つの指標を分ける必要があります。

参照元は、Geminiの回答生成時に参照先として記録されたWebページやドメインです。情報源として使われたことを示します。

本文言及は、Geminiの回答本文に企業名、サービス名、ブランド名などが登場したことを示します。参照元一覧にURLがあるだけでは本文言及には含めません。

推薦は、その企業やサービスが「依頼先」「利用候補」「相談先」などとして実際に提示された状態です。今回のレポートには全100回答を同一定義で推薦分類したデータがないため、本記事では推薦率を本文言及率と同一視しません。

また、本記事の「出現回答率」は、100回答のうち対象の企業・サービス、または参照ドメインが少なくとも1回登場した回答の割合を指します。

調査結果の全体像|100回答の95%で検索が使われた

LLMOナビの9月調査では、100回答中95回答で検索発火が記録されました。事前学習だけで回答したものは5回答です。

さらに、検索が発火した95回答では、Geminiが回答生成時に使用したものとして記録された検索クエリが合計434件あり、1回答あたり平均4.57件、中央値4件でした。

つまり今回のWeb制作関連質問では、一つの質問に対して一つの検索結果だけを見るのではなく、複数の検索クエリへ展開しながら回答を組み立てるケースが中心でした。

参照元として記録されたURLは合計1,250件、ドメインは731種類です。検索発火した回答だけで見ると、1回答あたり平均約13.2件の参照URLが記録されています。

この数字だけでも、Web制作業界のAI検索対策を「特定の数サイトだけに掲載されればよい」と考えるのは早計です。実際の参照先は非常に広い範囲に分散していました。

Web制作業界のAI検索回答の特徴と押さえるべきポイント

700超の企業・サービス等が登場し、84%は1回答だけに現れた

企業・サービス・ブランド等の言及ランキングでは、読み取れた名称は704件でした。そのうち592件、84.1%は100回答のうち1回答にしか登場していません。

一方、全名称の「出現回答数」を合計すると913件です。100回答で割ると、1回答あたり平均約9.1の企業・サービス・ブランド等が登場した計算になります。

最も出現回答数が多かったのは株式会社GIGで18回答、次いで株式会社LIGが10回答、株式会社エンクリエイトが7回答でした。株式会社グッドパッチとクーミル株式会社はそれぞれ6回答です。

ただし、上位だけが回答を独占しているわけではありません。言及ランキング上位5名称の総言及回数は49回で、確認できた総言及934回の約5.2%にとどまりました。

この結果から言えるのは、「有名な数社だけが常に回答を占める」という単純な構造ではないことです。ただし、700超の名称が出たことだけで、新規企業が簡単にAI回答へ入り込めると結論づけることもできません。どの質問テーマで、どの条件を満たしたときに名前が現れるかを継続して確認する必要があります。

参照元731ドメインのうち551ドメインは1回だけ

参照元にも強いロングテールが見られました。

731ドメインのうち、引用回数が1回だけだったドメインは551件で、全体の75.4%です。一方、参照回数上位5ドメインは次の通りでした。

順位

ドメイン

参照URL行数

1

web-kanji.com

38

2

hnavi.co.jp

27

3

giginc.co.jp

26

4

goleadgrid.com

20

5

note.com

18

上位5ドメインを合計しても129件で、1,250件の参照URL行の10.3%です。

上位には、Web制作会社を紹介するWeb幹事のような比較・紹介サービスと、株式会社GIGやLeadGridなど制作・CMSサービス側の公式サイトが混在しています。Web幹事はWeb制作会社探しを支援するサービス、GIGはWeb制作を含むデジタル支援、LeadGridはCMS・Web制作を提供しています。

ここで重要なのは、比較サイトだけ、あるいは制作会社公式サイトだけに参照元が偏っていない点です。Geminiは質問に応じて複数の種類の情報源を組み合わせています。

「参照される」ことと「会社名が本文に出る」ことは同じではない

今回の調査でもっとも重要なポイントの一つが、参照元としての露出と本文言及の差です。

たとえばweb-kanji.comは、少なくとも28回答で参照元に含まれていました。一方、「Web幹事」という名称が本文で言及された回答は5件です。

株式会社GIGでは、giginc.co.jpが22回答の参照元に登場し、株式会社GIG自体の本文言及は18回答でした。liginc.co.jpは11回答で参照され、株式会社LIGの本文言及は10回答です。goodpatch.comは10回答で参照され、株式会社グッドパッチの本文言及は6回答でした。

これは、AI検索可視性を一つの数字だけで測ると重要な違いを見落とすことを示しています。

Web幹事のように「情報を探すための参照元」として頻繁に使われても、その名称自体が毎回本文に登場するとは限りません。逆に企業名が本文で候補として登場しても、その企業公式サイトが必ず参照されているとは限りません。

したがって、AI検索対策では少なくとも「自社ドメインが参照元として登場する割合」と「自社名・サービス名が回答本文で登場する割合」を分けて追跡する必要があります。

なお、今回のデータだけから、本文言及された企業がすべて「おすすめ」として推薦されたとは判断できません。

Web制作会社のAI検索対策で次に検証すべきこと

今回の結果から、Web制作会社が次に確認したいポイントは大きく3つあります。

1.参照元としての可視性と、企業名・サービス名としての可視性を別々に測る

自社サイトのURLが参照されているのに会社名が回答へ出ないのであれば、Geminiにとって「情報源」としては利用されていても、「候補企業」として結び付いていない可能性があります。逆に会社名は出るのに公式サイトが参照されていない場合、第三者サイトなどの情報によって企業理解が形成されている可能性があります。

ここは推測で改善策を決めず、「参照元出現回答率」と「本文言及出現率」を同じ質問セットで再計測することが重要です。

2.質問テーマごとに露出を検証する

今回の100問には、Webサイトの新規制作だけでなく、UI/UX改善、CMS導入、システム連携、保守運用、採用サイト、ECサイト、リニューアル、発注前の料金・契約条件など幅広い目的が含まれています。

すべての質問で同じ企業が選ばれるわけではありません。自社が特に獲得したい「採用サイト」「CMS移行」「保守運用」などのテーマを決め、そのテーマに必要な実績・対応範囲・費用条件・支援内容を公式ページで明確にしたうえで、AI回答の変化を検証する方法が考えられます。

ただし、ページを追加すればAIでの露出が上がると証明されたわけではありません。施策前後で同じ質問、同じAI、同じ測定条件を固定して再調査する必要があります。

3.質問文自体の意味ずれを管理する

今回、「小規模な改修から全面刷新まで、予算に合わせて依頼できるところは?」という質問では、Geminiが「改修」をWebサイトではなく住宅リフォームとして解釈しました。記録された検索クエリも「リフォーム」「リノベーション」へ展開しています。

AI検索調査では、人間には文脈が明らかな質問でも、AI側が別業界の意味に展開する場合があります。継続調査では「サイトの小規模改修」のように対象を明記し、質問自体の意味を固定することも重要です。

調査の限界と次回検証

今回の調査は、2026年9月に取得されたGeminiの100回答を分析したものです。

Geminiの具体的なモデル名、GeminiアプリとAPIのどちらを使用したか、正確な実行日時、会話履歴、詳細な検索設定などは確認できません。そのため、異なる条件のGeminiやChatGPT、AI Overviewなどにも同じ結果が出るとは限りません。

また、推薦の役割を100回答すべてで統一分類できるデータはないため、「本文言及が多い会社=もっとも推薦されている会社」とはしていません。

前月までの同一定義データも今回提供されていないため、増加・減少や順位上昇・低下についても評価していません。

次月以降は、質問セットとモデル条件を固定したうえで、参照元出現回答率、本文言及出現率、推薦出現率を分離して追跡すると、単純なランキング以上にAI検索上の変化を把握しやすくなります。

Queue株式会社の無料現状分析|AI検索での自社・競合の露出を可視化

今回はWeb制作領域のAI検索回答を分析しましたが、Queue株式会社では、すでに800社が利用した企業ごとのAI検索における現状分析レポートを、即日・無料で作成しています。

レポートでは、貴社の事業やサービスに関連する質問に対する100個の非指名プロンプトのAI回答を分析し、以下の情報などをまとめています。

  • 自社の言及数:AIの回答内で、自社名やサービス名がどの程度登場しているか

  • 自社サイト参照ドメイン数:回答の情報源として、自社の保有するドメインがいくつ参照されているか

  • 競合の言及数:同じ調査対象の回答内で、競合企業やサービスがどの程度登場しているか

AIに情報源として参照されることと、企業・サービスとして紹介されることは異なります。両方の状況を確認することで、自社の露出状況や競合との差を把握できます。

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調査方法・出典

Queue株式会社が運営する「LLMOナビ」の2026年9月調査では、Web制作業界に関する100個の非指名質問をGeminiに入力し、取得された100回答、回答生成時の検索発火状況、参照URL、参照ドメイン、回答本文に登場した企業・サービス・ブランド等を分析しました。

企業・サービスの関係確認には必要な範囲で各社・各サービスの公式Webサイトを使用しています。

出典:Queue株式会社「LLMOナビ Web制作業界 AI検索可視化調査」(2026年9月)